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「ケイコちゃん? ケイコちゃんだよね?」  都会での大学生活に少しずつ慣れてきたある日、タカコさんが私に声をかけてきた。  タカコさんは私が高校1年生だったとき、3年生だった先輩である。  なんとなく流れで入った生徒会で会長をしていたタカコさんは、なぜか私を気に入ってくれ、なにくれと気遣ってくれた。  私がこの大学を選んだのも、タカコさんが進学していたからでもある。  ほんとうは私から探して声をかけたかったのだが、落ち着いてからと思っているうち、今日に至っていた。 「ケイコちゃん、なにかサークルに入ってる?」  高校時代と変わらない優しい笑顔で、タカコさんが訊ねる。 「よかったら、私と同じサークルに入らない?」  そして、サークルのパンフレットを、私にわたした。  そこに書かれていた文字は、晒し刑研究会。 「今日も午後から活動しているから、見学に来て」  歴史好きで少々変わったところがあったタカコ先輩。古今東西の晒し刑の歴史を研究するサークルなのだろうと思いながら、パンフレットに書かれていた場所に行くと――。  憧れの先輩・タカコさんが、晒し刑に処されていた。

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