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「ん……」

「あ、あの、富士サン? 無理にすることは――」

「王様? この国において”最高”の私に”無理”を諭すのは、挑発行為に等しいですよ?」

「あ、すみません」

「……ぷ」

「冗談ですよ。すみません。

 私だって憑現者ですから、人です。

 王様は、人の私を心配して下さったのですよね」

「うん。無理はしないで欲しいです。だってこういうの、女性の方が負担大きいものだし」

「……今、超大質量の地殻存在が上に乗ってることを考えると、王様の方が負担大きい気が」

「あの、富士サン?」

「何でしょう」

「僕は今、真剣に話をしているんです」

「…………」

「……危うくエンジンが掛かる処でした」

「どういう?」

「レッドゾーンに入った後、その状態が継続すると、山体の方にも影響が出ます」

「それはつまり?」

「ドカンってやってしまうと、数百万人規模の被災者が出ますね」

「……こういうの、しない方がいいのでは」

「王様?」

「何です?」


「全然縮小してないので、説得力がありませんが……」

「…………」

「……着衣だからです」

「……いろいろ言いたくなりますが、衣装も含めて”富士”という憑現者なので何も言わないこととします」

「じゃあ……」

「うん。御願いします。でも、無理だったら無理と言って下さい」

「ふふ。安心して下さい。大丈夫ですよ」

ーーーーー

「ンンンン?」

「だ、大丈夫!?」

「だ、大丈夫です。今、野辺山の駅あたりの高度で……」


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E8%BE%BA%E5%B1%B1%E9%A7%85

※野辺山駅

日本で一番高い処にある駅です。

自転車野郎どもが行ってみたい場所として”しまなみ海道”に並ぶ聖地。何故なら”この駅から麓まで、物理的に下り坂しか無い”ので超楽しい。


「……意外と余裕ありますね富士サン」

「ええ。七合目あたりで入りきると思います」

「七合目というと……」

「標高2750mですね」

「あれ? 半分くらいじゃ、ないの?」

「あらあら。大体、富士の”半分”って、何合目だと思います?」

「全部で十号だよね? じゃあ、五合目じゃないの?」

「残念様です。――五合目は2305mあたりの位置なので、半分よりも上ですね。

ちなみにこんな風になっています」

1合目:1405m

2合目:1786m

3合目:1596m

4合目:2045m

5合目:2305m

6合目:2450m

7合目:2750m

8合目:3350m

9合目:3570m

10合目:3776m

「そうなんだ……!?」

「そして私は全身が富士の憑現者であって、鼠径部から上がソレという訳じゃないですよ?」

「え? じゃあ、僕の今の状態は……」

「四合目(2045m)あたりから合体している感じですね」


「つまり、こう?」

「……ここ数十分で、人生で受けるセクハラレベルを次々と更新されていく気がするのですが……」

「あ、ご、御免。と、あの」


「……ふふ。受け入れてしまいました」

「大丈夫? 富士サン」

「え? あ、ええ、大丈……」

「……あ……」

「え? 何、泣き出して。痛い?」

「いえ、あの、そうではなくて」

「……憑現者になってから、こういう日は、もう、来ないと思っていましたから」

「一方的ですみません」

「……憑現者として、富士を頂き、誇りに思うべきでしょう。この地域として”最高”の憑現を得て」

「でも、……もう、私を第一に想ってくれる人と、共に生きていくようなことはないのだと。

そう思っていたのに、いつも私に振り返って下さった貴方と、出会ってしまったのです」

「……すみませんね。一方的ですよね。だからこれは、私の中だけの話で――」

「? あ、王様?」


「んむ……」


「富士サン?」

「……? 何でしょう」

「もう、僕は、振り返らなくていいんですよね?」

「……!」

「……はい! 傍にいますからね」

----

「……で、ちょっといい話になった処で、質問タイムですが、いいでしょうか」

「? 何でしょう」

「富士サンの、その、内部と言いますか、セクハラを避けた表現をするならば、シリンダーがあると仮定して、今、僕の、固体がそこに入っている訳ですが」

「セクハラとはまた別の何かを真正面から食らっている気がしますが、まあ気遣いがあるということでいいでしょう。――それで何か?」

「はい。僕の固体が、料理で言うと蒸籠蒸しを開けたときのようなものを感じているんですが、コレ、僕のは相対的に冷たいです?」

「王様?」

「私、活火山ですから、当然、外はクールでも中は抗議の蒸籠蒸しです」

「外はクール」

「そこに食いつきますか」

「あ、いえ、クールだったらこんな状況にはなっていないんじゃないかな、って」

「そろそろ動きましょうかね、と」

「え? あ、ちょっと……!」


「どうです? 活火山、気持ちいいですか?」

「こんなこと言われたの人類史上で初めてだと思う……」

「気持ちいいかどうかを聞いていますよ?」

「アッハイ! 良いです! 凄くいいです!」

「もう少し丁寧に御願いします」

「はい。ええと、――中はアツアツ、奥はたっぷりとジューシーで触感も抜群! この春最大のヒットですよコレは! わあ、気持ちいい~。もう一丁行く? オイス!!」

「誰が商品説明風でペヤング締めにしなさいと」

「す、すみません。語彙というか芸風が少なくて」

「いいですか? 普通で御願いします」

「あの、富士サン?」

「何です?」

「富士サンの想いに、僕は応えられてますか」

「…………」

「……狡い人」

「え? 何? 今、何を?」

「大丈夫。こちらの話です。じっとしてて下さいね」


「エッ、アッ、チョッ、ウワッ……」

「ふふ、顔赤くして、カワイイです……」

「カワイイ人……。ホントに、カワイイんですから……」

「いや、その、富士サン……?」

「大丈夫ですよ? ちゃんとしますから、安心して下さいね」

「安心って、どんな?」

「ええ。暴発しそうになったら、動きを止めてあげますから。

 それで落ち着いたら、またしっかり扱いてあげます」

「ええと、つまり……」

「はい。……もうどうしようもなく限界、となるまで調整しますから。

 安心して下さいね?」

「ンンン! 管理態勢バツグン……!」

「ふふ。だって、お互い、初めてですもの。可能な限り、ちゃんとしたいですよね」

「え?」

「? 何です?」

「お互い、初めて?」

「あ」

「さっき、富士サン、……始める前に、安心してって、大丈夫ですって。

経験者みたいな口振りで」

「…………」

「……少しくらい、格好付けさせて下さいな」

「あ、うん。凄い頼れるな、って、確かに思いました」

「ふふ、じゃあ、格好付けた意味、ありましたね」

「うん。何か、頼ってしまってばかりで、御免なさいというか」

「……有り難う御座います。僕のこと、気遣ってくれたんですよね」

「…………」

「……犯さんと」

「え? 何? ちょっと……!」


「ふふ、どうです? 王様の方から動いたら、多分、このような感じになるのかと思いますが、練習として味わってくださいね」

「ま、待って待って待って! 一気に持って行かれる……!」

「じゃあ少しペースを落としましょうか。ふふ。御感想は? さっきから、のけぞる時間が増えて来ましたよね」

「で、出来れば、もうそろそろ許して欲しいんですけど」

「駄・目・で・す」

「……もう、どうしようもないと、そうなったら、一番奥で許可してあげますからね」

「ふふ。そんな力を込めても駄目ですよ。私の方がずっと力が強いのですから。

 大丈夫。ほら、体の震えを、呼吸して、落ち着かせて下さいな。お腹の下の方、力を抜いて。ええ。それでまた、五分くらい、楽しめますよね」

「……どうして?」

「? どうして、とは?」

「富士サンは僕よりも遙かに強いのに、多分、僕が一番いいようにしようとしてくれていて。

……でもその力を使って僕を使役しないのは……、どうしてです? 僕が、王様だからですか?」

「…………」

「……貴方は私にとって掛け替えの無い人で。私は、貴方に嫌われたくないのですよ」

「やり方が極端です……」

「自覚はあります」

「あるんだ……」

「はい。でも、性分ですので。……それで、嫌われたくないと同時に、こうも思うのです」

「それは?」

「――貴方の全部を頂いてしまいたい」

「――――」

「私に遭難させてしまえば、貴方は私のものとなります」

「じゃあ、それをしないのは……」

「貴方が私のものとなってしまったら、私は、貴方に嫌われることも出来なくなります。ええ。何故なら、そのとき、貴方はもう、私のものなのですから」

「でもそれは、私の望むことではありません。

 私は、私を大事に思って下さる貴方と、共にいたいからです」

「すみません。嫌われたくなくて、でも私のものとしたくて、……これを、何と言えばいいのでしょう」

「……好きでいて欲しい?」

「…………」

「……こ、この国の人は、皆、私のことが好きですよね」

「でも、こういうことをするのは僕だけですよね。そして……」

「僕は富士サンのことが好きだし、好きでいて欲しいから、……富士サンは、僕のことを好きにしていいですよ」

「……もしも私が、貴方を、私のものとしたら、どうするつもりです」

「それはそれでいいと思いますよ?」

「何故です?」

「いや、だって、そうなるとしたら、多分、……僕と富士サンの間に、そうなる理由があったんだと思いますから。――だとしたら、それが僕と富士サンにとって一番幸いだったんです」

「だからそういうときが、もし来たならば、僕のこと、好きにして下さいね」

「……狡い人」


「……私の方が遭難しそうです」

「でも、いいのですね。

 貴方を私のものにしたくて、でも嫌われたくないから止める。

 そうである内は、私も、貴方を好きで、私も好きでいて欲しいのだと信じます」

「――じゃあラストスパート行きましょうか」

「そ、その切り替えの早さ……!」


「あっ、ちょっ、ホントにコレは……! 上から下まで……!」

「ふふ。先端から根元まで磨いて差し上げます」

「――!」

「あらあら。一気に来てるみたいですね。言葉も出なくなってしまいましたか?

 あっ、手がこんなに強張って。ふふ、恋人握りしてあげますね?」

「あっ、あの、ス、トッ、プ……!」

「――だめです。

 今回は、やめてあげません」

「……!?」

「ええ。私の声、聞こえますか? いいですか王様、私が一番奥まで導いてあげたとき、出して下さいね? 折角、ここまで、私が準備してあげたのですから、最後は格好良く決めて下さい」

「……あと、もう、聞こえませんか?

 ふふ。そんながくがく震えて、カワイイうめき声出して、ええ、そろそろ限界ですね? じゃあ、最後にいいこと、教えて上げます」

「……私も、もう限界です」


「ンン……!」

「アハ。……王様、ホントにカワイイ……。一番奥でそんな必死に……。私の下でこんなに全身震わせて……」

「あらあら。出し切ったのに、何度も奥に届かせようとして腰突き上げて……。私の一方的な約束、叶えて下さってるんですか?」

「ふふ。王様の、初めて、一番いい形で頂いてしまいました……」

「私の大事な人の、一番……。一番初めの全部。……私も初めてで……」

「ん……」

「…………」

「……ふ。私の方も二度目が来てしまいましたけど、憶えてしまいそうですね、これ」

「でも、良かった……」

「これで、この人が、他の誰かと同じようなことをしても……、嫉妬することがあるとして、”私のもの”にしようと、そう思わずに済みます」

「だって、他の誰にも奪えないものを、頂きましたから……」


「……あ」

「気付かれましたか?」

「え? あ、富士サン……」


「……こんなことってあるんですね……。あり得ないくらい出た……。というか、すみません。汚してしまった」

「ふふ。高評価なようで幸いです」

「……うん。でも、富士サン?」

「はい。何でしょう?」

「……僕、まだ、大丈夫ですから」

「え? 何が、です?」

「だって毎晩、これがあるとして、僕まだ、富士サンが御相手だったら大丈夫ですから。

 だから、あの」

「……気にせず、好きにして欲しいです」

「……毎晩って……」

「え? 僕をここに連れてきたのは、そういうことですよね?

 だから僕も、それでいいですと、そういう話で……」

「…………」

「……ふふ。ちょっと安心して涙が出てしまいました」

「? 何か、おかしなこと言いました?」

「いえ、何というか、取り越し苦労をしていたのかもしれません」

「……今後は、夜用の制服を五着は用意しておくことにしますね?」

ーーーーーーーーー

tobe~

「何か富士のキャラがロジック確かなもんだから、ちょっとガッツリ書いてしまったわ。今回は、動画を先週に作っておいたからテキスト集中出来たんだけど、このくらいの密度の内容のほうがいいなら、土日どちらかに集中していくのも悪くないわね……」

「”山”ということで、ちょっと怖めのキャラづけですね富士サン。

情が深すぎるというか、遭難のように離さないというか」

「アンタも全部言葉にしたらこのくらい怖いと思うんだわ……」

「いやいやいやいや。ともあれ今後は?」

「まだコレの続きがチョイとあって。次週は新キャラ出せればな、って処かしら。

ともあれ色々忙しいから頑張って見ようって感じね。

 ともあれこれからも宜しくね?」

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