「とある施設51」 追加差分7枚+追加文章 (Pixiv Fanbox)
Published:
2022-11-26 14:59:24
Edited:
2023-06-07 13:54:16
Imported:
2023-09
Content
ー魔王という名の礎ー
異世界で無力化された”魔王”は我々の世界に連行され厳重管理されることとなった。
本来であれば”魔王”が敗れるはずの無い戦いであったのだが、歪曲解釈された血の盟約の作用により行動に大幅な制限がかかった状態の”魔王”は本来の半分の力も発揮できなかった。
もし魔族の国の有力者達が自らの身の保身を考えずに『超広範囲型殲滅魔法』や周囲に多大な破壊的被害を及ぼす『形態変化魔法』を”魔王”に行使させていたら戦いの結果は大きく変わっていたかもしれない。
実際、魔王は戦闘中に我々の危険性を察して契約を無視し、それらの力を全力行使しようとしていたようであるが血の盟約の強制力で『魔法』の発動不全を起こしていた。
周囲の盟約者に被害が及んでしまう強力な攻撃手段を封じられては”魔王”もさぞ苦しい戦いを強いられたことであろう。
ここまでの事を簡単に説明すれば有力者の連中は無能であると同時に極めて邪魔者であったということである。
さて現在、施設に収容されている魔王についてだが、厳重拘束された上に魔族の象徴ともいえる角を根元から切り落とされて再生できないように切断面を上から反魔物質を溶接された状態である。
魔族の特徴である角は『魔法』の発動現象に大きな役割を果たしているとの研究結果が出ているので”魔王”から生える角はこれからも再生させてはならないだろう。
最終目的としては角以外の”魔王”の身体に備わる魔力制御を司る部位を徹底的に研究する事で、如何にして『魔法』という力をあれほどの絶技に昇華しているのかを解明する事である。
一般人な『魔法』の発動プロセスは秘密裏に捕らえた多くの魔法行使者を用いた実験結果で明らかになっているが、兵器転用するにはまだ些か物足りない成果である。
人間の体内で行われる『魔法』の発動に対しての処理限界を今回、手に入れた”魔王”の体内構造を疑似的に再現する事で大幅に超越する兵器構想計画が考えられている。
実際に”魔王”がどうやってあれほどの『魔法』の威力を生み出しているのかは全て我々の仮設の域を出ないが発動させた状況を揃える事で新たな発見もあるに違いない。
その為には長い時間をかけて検証や実験を繰り返さねばならないだろう。
武力行使よって大幅に進展した研究課題だが、結局は地道な作業の繰り返しによってのみ最大の成果に繋がるというのは少々味気ないと考えてしまうものである。
いっその事、”魔王”のクローンでも生み出して強力な洗脳教育を施せば最短で究極の兵器が作り出せるのでは?と私は考えてしまうのだった。