雑誌の取材に来た村祭りで… (Pixiv Fanbox)
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俺は林 武典
どこにでもいるしがない駆け出しの雑誌ライターだ…
今日もとある村に取材をしに来たのだが…
暑さとこの本郷という男の態度にイライラを隠せない…。
そうこうしている内に村長が出迎えてくれる。村長は本郷と違い、「遠いところからわざわざ…」といった、まぁ、田舎のお爺ちゃんという対応だ。
早速、祭りの詳細を聞こうとするが…。
「まぁまぁ、それより、せっかくこんな所まで来たんだ。あんちゃんも俺たちと一緒の恰好をしてくれっけ?」
「えッ…いや~…」
「そうそう!それがいいべな!本郷、着替え手伝ってやれや!」
半ば無理やり…といった感じに本郷に背中を押され、公民館に連れられてしまった…。
そんなつもりなかったんだが…。
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本郷はムスッとした表情を崩さず、淡々と着替えの手伝いをしている。
2人きりの重たい空気が漂い…たまらず俺は口を開いた。
「い、いや~……褌なんて、その、初めて着ますよ、大変、ですね…これ…」
「…そうか…」
ただ一言、返事をするだけでその後も会話は続かない…。
なんでこんな気まずい思いをしなきゃなんねーんだよ…。
「今年は…」
本郷の方から口を開く。
「?」
「…今年は…俺が、『御供』だ…。
…だから…」
ぼそぼそと呟くが途中で言葉が途切れる。
御供?祭りのことか?
「…いや…
なんでもない…。忘れてくれ。」
「は、はぁ。」
褌を締め終わり、外に出る。
そして、再び村長と話をしたり少し写真を撮ったり…と、探索をしている内、あれよあれよという間に祭りの準備も手伝わされることになった。その間も本郷とはうまく会話は続くことはなかった…。
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花火が上がり、神社の周りでは少ないながらも出店が立ち並んだ。
まばらではあるが、人も集まってきている。
なんてことはない、そこらへんの田舎のお祭り、といった所だ。
俺はというと、神社の本殿で行われている村民による演奏と踊りを眺めていた。
(…とりあえず写真撮っとくしかねーか…。)
心の中で呟き、パシャパシャと写真をカメラに収めていく。
こんなの面白い記事なんて書ける訳ねーだろ…、なんてことを考えていると。
「あんちゃん、ほれ!酒がなくなってんぞぉ!」
「あぁ、いえいえお気になさらずに…」
「ほれ飲め!飲め!」
さきほどから村長がやたら酒を注いでくれる。なにやら村の自慢の地酒だというが…。
(この酒の記事を書いたほうがいいんじゃねーのか?なんかハマっちゃいそうだな。)
安月給の俺が普段口にしているビールや発泡酒とは比べ物にならないほど、この地酒は口当たりがよく、旨味がある…気がする。すっきりとしているのに口の中に甘味が広がるというか…。
(そんで…村長が用意してくれた天ぷらやら牡蛎やらがまたうめぇんだよな…
あぁ、ここ来てよかったかも。)
奇祭のことは編集長のガセネタだったとして…。こうなりゃメシと酒を楽しんでそれでいいや。
請求は全部会社持ちだしな。
一旦、記事のことは忘れちまえ。まぁ、この酒のことでも書いときゃなんとかなるだろ。
ついつい日ごろの恨みを晴らすかのごとく、用意された飯を喰らい、浴びるように酒を飲む。
そして夜は更けていき…………。
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俺の目に飛び込んできたのは村長たちに囲まれた本郷の姿だった。
頭が一気に醒め、物音を立てないよう、寝たふりをしながらその様子を見続ける。
(なんだよこれ…何やってんだ…?これが奇祭ってやつなのか…?)
(酒塗りこんでる…!?まさか…俺が飲んでたやつか…?)
異様な光景に、目が離せない。
(なんだよコレ…!?なんで俺…興奮して…)
酒の効果で体が火照り、雄臭い熱気に俺のチンポは一気に怒張してしまった。
(やばい、やばいやばい!!くそ…な、なにが始まるんだよ……!)