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◆ ◆ ◆

世界がゾンビだらけになってから1ヵ月が経った。

俺が"彼女"に出逢ったのは、物資の調達のため廃倉庫を物色していた時だ。

倉庫の裏手から何やらうめき声が聞こえたので、ゾンビが近くにいると思った俺は鉄パイプを片手に恐る恐る廃倉庫の裏口から外を窺った。

倉庫の裏手は雑木林に面して敷地を囲うようにフェンスが張られていた。

そのフェンスの近くで何かが蠢いている。

そいつがゾンビであることを確認するのに時間はかからなかった。

が、何やら様子がおかしい。

そのゾンビは這いつくばるような恰好でフェンスの破れ目に上半身を突っ込んでいたのだ。

うめき声をあげているのはそのゾンビに違いなかった。

念のため周囲に他のゾンビがいないことを確認してから、俺は慎重にそのゾンビに近づいた。

見たところ、そのゾンビは女のゾンビだった。

生前の衣服は徘徊しているときに脱げてしまったのか、ゾンビとなった今彼女が身に着けているのは擦り切れたタンクトップと汚れたショーツだけだった。

タンクトップはフェンスに引っかかってめくれあがっており、豊かな乳房がはだけてしまっている。

この女ゾンビがどうしてこんな体勢になってしまったのか分からないが、何かを追ってフェンスの穴から雑木林の方に抜けようとして彼女の豊満な尻が引っ掛かってしまったようだ。

フェンスの外に出ている上半身の方をよく見ると、腹の下から赤紫色の臓物が垂れ下がっている。

破れたフェンスの先端で腹を裂かれたのか、それともどこか別の場所でそうなったのかは分からない。

ゾンビの恐ろしい姿はすでに見慣れていたが、腐った臓物を目の前にして気持ちの良いはずがない。

その見た目と悪臭で吐きそうになりながら、俺はこの憐れな女ゾンビにとどめを差すことも、すぐにその場から立ち去ることもしなかった。

ゾンビの特徴である濁った緑色に皮膚が変色している以外は、完全に生前の状態を保っている彼女の肉体に俺は目を奪われてしまっていたのだ。

ゾンビ共はたいてい身体の部位がどこかしら欠損していたりするが、彼女の四肢はちゃんと揃っているし、髪の毛も抜け落ちていない。

(俺もついにおかしくなったか? ゾンビ女の体にムラムラするなんて……)

明らかに自らの感覚がおかしくなりつつあることを自覚しながら、俺はさらにバカげた考えを起こしていた。

(今ならこいつ、襲ってこれないよな……)

おそらく、彼女はすでに俺の存在に気付いている。

ただ、今の状態から脱する方法を導き出すための知能を完全に失っているのだ。

この時点で、俺が"どこまで"するつもりだったのかは正直よく覚えていない。

が、兎も角も俺は手にもっていた武器を地面に置くと、こちらに突き出された女ゾンビの尻に張り付いている汚いショーツを躊躇なく引きずり下ろしていた。

当然のことながら、薄い布切れの向こうには人間の女の性器と肛門がちゃんとあった。

もっとも、俺はそれらをポルノでしか見たことがなかったのだが。

(うげえ……)

だが、今目の前にある本物(?)の女性器と肛門は、ポルノで見たものとはまるで違っていた。

はっきり言って、赤黒く変色して緑がかった粘液が糸を引いている"それ"は最悪だった。

もう一つの穴も、ぶよぶよの腐ったトマトのような見た目をしている。

不思議なのは、その醜悪さとむせ返るような悪臭をもってしてもなお、完全に萎えてしまうどころか、むしろ更なる欲情が沸き起こってきたことである。

◆ ◆ ◆

打ち明けてしまうと、最終的に俺は事に及んだ。

つまりは、フェンスに引っかかって身動きが取れない女ゾンビのアソコに自らの肉棒をぶち込んだのだ。

さすがに、実行するまでは相当悩んだ。

何せ、相手は動いているとはいえ腐った死体だ。

無抵抗に尻を突き出し、乳房と肉穴を丸見えにしていても、未知のウイルスに侵され蘇った「歩く屍」なのだ。

誰が見てもイカレてるし、俺も完全にイカレてたと思う。

それでも、一応迷ったということは、それなりに理性があったともいえる。

ゾンビが街中を徘徊する完全に終わった世界で、明日にもそいつらの仲間入りする恐怖に怯える極限のサバイバル生活の果てに、孤独な生存者はついに"ヤケクソ"になってしまった。

わずかに残っていた理性の言い訳としてはそんなところか。

無論、許されるなら生身の女とヤりたかったに決まっている!

でも世界が「終わって」から今まで、生身の女はおろか生きた人間とは一度も遭遇していないのだ。

この先も出会えるかどうか分からないし、奇跡的に出会えたとしても事に及べる可能性は?

限りなくゼロだ。現実は『ウォーキング・デッド』よりも残酷らしい。

幸いにして、この世界にはすでに倫理も道徳もない。

白日の下、歩く死体の女を犯しても誰にも咎められることはない。

もちろん、ゾンビと生でセックスすることの恐ろしいリスクについても考えた。

だが、ゴムの持ち合わせはないし、どの道死ねば彼女と同じゾンビの仲間入りだ。

ついに俺は吹っ切れて、その場で衣服を全部脱ぎ捨てた。

露出したイチモツは、これまで経験したことのないほどガチガチに勃起していた。

むしろ常軌を逸した今の状況が、さらなる興奮を呼び起こしていたようにさえ思う。

俺はフェンスから突き出た女ゾンビの尻をつかむと、醜悪な肉の襞の隙間に勢いよく肉棒を突き込んだ。

生身の人間の女とヤる時は、ちゃんと「前戯」をしてしっかりとアソコを濡らさなければならないことは知識として知っていた。

残念なことに、俺の初めての相手は「死体」なので、「前戯」で濡らすことができない。

実際にはイチモツを膣穴に突き挿れてから気づいたのだが、彼女の膣内は謎の粘液ですでにドロドロになっていたので、濡らしてやる必要は一切なかった。

ただ、膣口を突くたびに、結合部から異臭を放つ緑色の粘液が淫靡な音を立てて溢れ出して来たが、俺はひたすら見ない振りをした。

俺は無心で女ゾンビの肉穴を突き続けた。

俺は生まれてこの方、生身の女とはついに交わる機会がなかったので比較はできないが、これは紛れもないセックスだ。

どんなに「上手く」やっても何も感じることはなく、うめき声をあげるだけのゾンビ女でも、その肉体はかつて生きていた紛れもない「本物」なのだ。

そして、それがたとえ命を失った骸でも、未知の生物学的作用により生前と同じ筋肉運動を行っている。

抽送に対する反応なのかは分からないが、俺の肉棒はたしかに"締め付け"を感じていた。

彼女はというと、自身の下半身が今まさに犯されていることなどは全く意に介さず(あたりまえのことだが)、ただ捕食対象の方に向かおうとするのか、むなしく地面を引っ掻き続けている。

その手の経験豊富な者に言わせれば、反応の無い肉壺をひたすら犯し、一方的に快楽を得るだけのこの行為はただの自慰でしかないかもしれない。

──否定はできない。

が、経験の一切無い俺のような者にとっては間違いなく自慰では得られない未体験の快感であり、であればこの行為はセックスに他ならないのだ。

それに、ゾンビを相手に気遣い等は一切無用である。

自分が気持ちの良いように、無茶苦茶に突き、犯しまくる。

もはやセックスか自慰かなんてどうでもいい。

気持ち良ければそれていいのだ。

やがて絶頂を迎えた俺は、"彼女"の膣の奥底、かつては子宮としての機能をもっていた臓器の入り口に思い切り亀頭を押し付け、大量の精液を放出した。

◆ ◆ ◆

信じられないくらい長い射精後にも関わらず、"彼女"の膣から引き抜いた俺の肉棒はガチガチに固まったままだった。

この1ヵ月の間、自慰にふける暇などあるはずもなかった。

溜まりに溜まったものは、だらしなく開いた彼女の膣口から今まさに大量に吐き出されていた。

(まいったなこりゃ……)

もはや「発散」というよりは「排泄」に近い。

奇妙にフェンスから突き出た彼女の尻はさながら便器である。

ゾンビとはいえ、死者を凌辱した罪悪感やら自らの行いに対する嫌悪感のようなものは一切なかった。

どこまでも満ち足りた感覚と、奇妙な昂揚感だけがあった。

その後一通り物資を漁ってから、廃倉庫を去り際、俺は敷地の外から倉庫の裏手に回り込んでみた。

"彼女"はフェンスの破れ目に嵌った格好のまま、相変わらずうめき声をあげながら地面を引っ掻いていた。

俺がゆっくり近寄っていくと、こちらに気付いた彼女は手を伸ばすようにしてひときわ大きく唸り始めた。

目の前の男がさっき自分を犯した相手であることなど彼女は知る由もないが、何か怨まれているような気がした。

ゾンビ特有の黒目が消失して全白となった目と飢えた獣のように大きく開いた口のせいでわかりにくいが、生前の彼女はそれなりに美人であったと思われる。

「また来るからな」

"初体験"の相手にそう告げ、俺はこの"出逢い"を神に感謝した。

END

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