奪われたブレイズオーブ02 (Pixiv Fanbox)
Content
激突する二人の戦士。拳圧が空を裂き、砂塵を巻き上げる。
「オラぁ!!!」
クリムゾンブレイズのパンチが強化型シグルズを捉える。
手ごたえあり!と思った瞬間、衝撃がクリムゾンブレイズの胸を穿つ。
「グハッ!!!」
「私は戦闘に特化した強化型のシグルズ。量産型の戦闘員と一緒にしないことだな。」
「ッ、、、へへ、お上手なのはおしゃべりだけじゃないってか?相手にとって不足ねぇぜ!」
真っ向からつかみ合い、力比べをする二人。
ギリギリとお互いの手を締め上げる。両者のパワーは全くの互角だった。
そのとき、背後にうごめく影があった。
倒したはずのシグルズが覚醒し、息を潜めてにじり寄る。
強化型シグルズとの戦いに集中するクリムゾンブレイズに気づく術は無かった。
「な、なんだてめェら!まだ生きてやがったのか!!!」
背後からしがみつかれ、動きを封じられるクリムゾンブレイズ。
普段なら一蹴できる雑魚だが、隙を突かれたことで反応が遅れてしまう。
「ギ、、、ギィィィ、、、!」
「クソッ、この死にぞこないどもが……!まとわりつくんじゃねェ、気色悪ぃ!」
決死の覚悟でしがみつくシグルズをなかなか振り解けない。
背後からの奇襲で完全に間合いを殺され、クリムゾンブレイズは得意のパワーとスピードを活かせないでいた。
「よくやったお前たち。そいつを抑えていろ。」
強化型シグルズがクリムゾンブレイズの腹部に手をかざすと、不気味なオーラが蠢動し始めた。
「な、なにしてやがる!」
「貴様のブレイズオーブをいただく!」
「な!!!?」
強化型シグルズの指がクリムゾンブレイズにめり込んだ瞬間、光り輝く宝珠が抉り出された!
「ぐ、、、ああああああ!!!!!!」
「ふ、ふふ……ふははははは!!!いいぞ!!!実験通りだ!!!」
『馬鹿ナ……グラム!?ナゼ人間ガグラムノ力ヲ…?!』
遠ざかるブレイズオーブの声。
取り出された宝珠こそ、クリムゾンブレイズに宿るブレイズオーブそのものだった。
「や、やめろおおおォォォ!!!!」
凄まじい激痛の中、ブレイズオーブの摘出を拒むクリムゾンブレイズ。
しかし強化型シグルズは聞く耳を持たず、非情にも宝珠と英雄の絆を完全に断ち切った。
真紅に脈動するブレイズオーブを見つめる強化型シグルズ。
「成功だ。宿主との癒着の無効化。ブレイズオーブの回収完了だ。」
満足そうにつぶやく強化型シグルズと対照的に、クリムゾンブレイズは虚脱に喘いでいた。
「あ……ああ……あ……」
TO BE CONTINUED...