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同人誌の作り方とか『UNDER A PAPERMOON』に関しての思い出話。

【『UNDER A PAPERMOON』ただいま公開中】


fanbox post: creator/81480/post/1294396

この漫画は彦二部屋大作主義時代の始まりの本です。

大作主義時代というのは、話が長くなりすぎてしまって大体70~80ページになっちゃう本を出したあたりがその時代に含まれます、つまり自己管理ができていない時代です。

なんでそんなことになっちゃったかというと、基本漫画描く時って『プロット→ネーム→下書き→ペン入れ』みたいな流れがあると思うんですが、自分の場合同じ線を描きたくないというめちゃくちゃだけれども理論的な思考により、『プロット→ペン入れ』と、間の工程を二つくらい飛ばした同人誌の作り方をしています

ちなみにプロットはこんな感じです。


内容が丸わかりしちゃうのと字が汚いのが恥ずかしいので若干モザイクです。

こんな感じに落書き帳二ページ分くらいのプロットを考えて制作スタートです。

細かい調整は原稿を描いていく上で考えて付け足したりしているので時折ページ数が増えたり辻褄が合わなくなったりしますが、そこを上手く減らしたり増やしたりするのもなかなか楽しい超楽しい、私にとって同人誌を作る中での楽しみになっていたりします。

その結果めちゃ描きたい事が夏の積乱雲のように膨れ上がり取り返しのつかない事になる、それが大作主義時代―――現在進行形です。

さて、『UNDER A PAPERMOON』の話。

ここからは本誌を読んだ人推奨な感じです。

この本のタイトルはAll Timelowってバンドの『UNDER A PAPERMOON』という曲を聴いたとき「『偽物の月の下(UNDER A PAPERMOON)』ってキーワードめっちゃいいな、特に『UNDER THE』じゃない所がすごくいい、それでなんかSFモノ描きてぇな」ってなって、思いついて描いていって締め切りギリギリになってもいいタイトル決まらなくて結局そのまんまにしてしまいました。

めっちゃいい曲なんだけど日本では全然人気ないみたいです、なんで?

内容の話。

個人的に思い出深いのはクローンウサミンの制作過程でした。

クローンウサミンを作る時『本物のウサミンの記憶を再現するために、どのような処理を施したらいいか』という部分に関して『長期広範囲をシミュレーションした多人格思考型ヴァーチャルリアリティ』を用いたと書いています。

これはクローンウサミンの脳に、限りなく忠実に再現したウサミンの過去の記憶を何億通りもシミュレーションさせ、最終的に晶葉ちゃんと過ごした夜に発した言葉「だからこれからもずっと友達でいてくれる?(かつて本物のウサミンが晶葉ちゃんに発した言葉)」に辿り着くようにさせる事で『晶葉ちゃんが思う、本物とほぼ同じウサミン』を作っています。

ウサミンの記憶を作るための素材(住んでいた場所、家族構成、環境、当時の天気、当時の世相、趣味思考、主義等)は地球に一人残った晶葉ちゃんが気が遠くなるほど長い年月をかけて調べ上げ、足を運び、わからない部分は想像で補い構築し、シミュレーションを開発しました。

つまり本誌『UNDER A PAPERMOON』内に出てくるウサミンは最初から最後まで『晶葉ちゃんが思う、本物とほぼ同じクローンウサミン』になります。

「だからこれからもずっと友達でいてくれる?」というセリフのページまではシミュレーション、それ以降が本当の現実世界になるわけです。

なのでこの漫画、本物のウサミンは一ページも出ていません。

ちなみにこのクローン制作過程を思いついたきっかけは超有名劇画『ゴルゴ13』の143巻に掲載されている『百人の毛沢東』をリアルブラザー(兄)に教えてもらったからだったりします。ウサミンは毛沢東。

今更ながらありがとうブラザー。

というわけで個人的にとても思い出深い本なので楽しんで頂けたらとても嬉しいです。

またなんちゃってSF感のある本も描いてみたいなと思いますのでその時はどうぞよろしくお願いいたします。

余談、本には書かなかったけど、シミュレーション過程で『失敗したクローンウサミン』とかいたんだろうなって考えるとちょっと背徳的な気持ちになったりします。

失敗作の彼女達はどうなってしまったんでしょう。

(Fanbox)


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