向日葵とラーメンの話 (Pixiv Fanbox)
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日記です、くだらないかもしれませんが、くだらない話というのは読む人の見方次第で価値のある話に変わるものです。しかし大概は変わりません。
ファンボックスを始めてから「なにかしら日記に残すために注意して生きよう」という気持ちが強くなったように思います。
例えばいつも仕事に向かうため通る道、歩く際にも何かあるかと目を凝らします。
するとまぁ美しい、夏の太陽をぽとりと落としたみたいな鮮やかな向日葵がレンガ塀を越えてこちらを覗いている事に気づくわけです。「よう」
ああ、俺はこんな綺麗な眼差しに気付かないまま無為に毎日を生きていたのだな。
でもこれは別に面白くないからいいや。「そうか」
そう生きています。
この間ラーメン屋で晩御飯を食べました。
そこのラーメンは煮干しがメインの強い風味のラーメンで、他に似たような店がないのでなかなかに気に入っています、サイドメニューの炊き込みご飯もおいしいのでよく一緒に頼んでいます。
今日は山菜ごはん、山菜がダシとともに炊き込まれたご飯です。
小さめのお茶碗に盛られた季節の山菜が美味しい、煮干しの風味が強いラーメンにはうってつけのお供というわけで、クーラシェイカーとジョーサウスのハッシュが出会ったみたいな相性の良さがあるわけです。
しかし向日葵が私の顔を覗き込みながら言いました。「それは本当にうまいのか?煮干しラーメンのお供にしかお前は考えていないのか?」「案外耄碌しているのだな」「あまりに無個性だ」うるさい向日葵だな。
だいたい山菜ごはんにお前は、俺は、なにを求めているのだ。
ラーメンのチャーシューを頬張り、山菜ごはんを口にする、脂と山菜の風味のマリアージュを感じろ、とやかく言うなよ、俺は静かに飯を食べたいんだ。「じゃあ俺は帰るよ」帰れ帰れ。
でもなんだ、注意して食べると美味いな、美味いよ、改めて山菜ごはん。
美味いよ…美味い、チャーシューもスープも麺も、必要ないかもしれん。必要ないな。
山菜ごはん単体で美味いよ…
薇も筍も、油揚げも、もち米の風味、薄めの味付け…
全部美味いわ…ずっと噛んでると甘みとほろ苦さが美味いんだ、ラーメンで見えなくなっていたんだ。
いや確かに美味しい山菜ごはんなんだけど、世界で一番美味いかとか名店レベルかとか言われるとそうではないんですよ、でもこの山菜ごはんが持っていた本来の美味しさ(ポテンシャル)というか、当たり前の味に気付いていなかった、知覚、味覚、視覚共に情報が多すぎたのだなって思います。
よく噛み、嚥下、再発見の新発見、注意、注視、こんなに美味い、単体山菜ごはん。
そうだよな、ジョーサウスのハッシュだってエロっぽいハスキーさで超カッコいいもんな…
そう言って感慨に耽っている間に、煮干しラーメンはやや伸びていたという話です。