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「あ、ああ…………ああぁ…………」  わたしは……どうなってしまったのでしょう?  眼前で広がるのは、悪夢のような光景。  デスパイアたちを無慈悲に嬲り、弄び、殺し尽くしていく……  それはわたしの知らなかった、圧倒的な力でした。  今までずっと、わたし自身を苦しめてきた、理不尽なまでの暴力……もっと忌むべき、許してはいけない力。  絶望の、魔力―――― 『ふふっ。本当にそう? 今でも、そう思ってる?』 「え……? あ、貴方……は……?」  声が聞こえました。  わたしと同じ――わたし自身の声でした。 『圧倒的な力で、他者を蹂躙する。何の意味もなくったって、草花を踏み躙ったり、虫ケラの足をもぎ取ったり、小動物を虐待したり……ふふふ。楽しいわよね……ね? そういうの、本当は、貴方も好きでしょう?』 「な、何を……。貴方は、な、何を言っているのですか~……!?」  闇の中からぬぅっ、と姿を現したのは……わたし自身。  汚れなきエンジェルのコスチュームではなく、禍々しい漆黒のマントを身に纏った、悪魔のようなもう一人のわたし……  今もデスパイアたちを残虐に嬲り、犯し、屠り、喰らい続ける……ジェノサイドエンジェル・メイでした。 『最後の最期まで優等生ぶっちゃって……ククク! もうそんなフリをする必要はないのよ、わたし。わたしは本当は……もうとっくに気づいていたんだから』 「な、何を……あ、あぁ。貴方は……い、一体……」 『フフッ! わたしはメイ……貴方自身。いえ、ずっと現実から目を背けていた貴方よりも、ずっと真実に近い存在。安心して……貴方はもう苦しまなくてもいいのよ、これからは、貴方じゃなくてわたしがメイなんだから……」 「な……そんな、な、何を……ふあ、あ、ああっ!?」  にゅる……ぐにゅ、にゅるん……!  粘液に濡れて不気味にうねくり回る、何かおぞましい物体が蠢く気配……それは、わたしが何よりもよく知っているものでした。  見るも淫猥に黒光りする、何本もの長大な触手――それは、ジェノサイドエンジェルと化したわたしのコスチュームから無数に伸び出しているものです――が、わたしの両足に絡みつき、そのまま這いずりあがって股間部にまで迫ってきます。  まるで牙のように鋭く尖った先端部が、わたしのショーツに前後から押し当てられて……グリグリと媚肉を嬲るように蠢きながら、前にも後ろにも入り込もうとしてきます……! 「ひ、や、やぁぁ……あ。や、やめ……っ!」 『ふふ、嘘つかなくてもいいわよ、貴方好きでしょ、こういうの。気持ち悪い触手に滅茶苦茶に犯されて、必死に頑張ってもぜんぜん抵抗できずに、希望の魔力も奪われて……無理矢理に気持ちよくされて何度も何度もイカされちゃうの。ほら、こうやって……ねぇ?』 「い、いやっ……そんな! こ、こんなの嫌です~、わたし、こんなの好きじゃないのに……ひああ、あ、あああ~~~!』  ずちゅっ、にちゅ、ずちゅちゅちゅっ……!  めり、めりめりめりめりぃ……! 「うああ、あ、あ、ああっ! ひっああああああああ~~!」  コスチュームが引き裂かれ、一気に前後同時に挿入されました。  ジェノサイドエンジェルの触手はすごく太くて、長くて、たくましくって……子宮奥まで一気に侵入し、あるいは腸奥にまでぐねぐねと入り込んで、前と後ろをいっしょに満たし尽くされて犯されます。 「ひっ、ぐ、う……ううぅぅっ! い、いきなり……んはあぁぁっ奥までぇ、は、激しすぎます……うぅぅ~~~!」  肉膜一枚隔てただけの双穴を同時に猛烈なピストンで穿り返され、わたしは苦痛の声をあげてもがきました。その間にも触手たちは容赦ない抽迭を繰り返し、交互に前後の穴を抜き差しされて掻き混ぜられます。 「ひぐ、う、あ、あ、ああっ! だ、だめですぅ……これ、これ……ひ、ああっ! い、いっしょなんて……前も後ろもいっしょにズボズボされたら……あ、あ、あっあああぁぁ~~!」 『ふふふ。何がダメなの? 前と後ろ、一緒にズボズボされたらどうなの? 正直にいいなさいよ……気持ちよくって……感じちゃうんでしょ?」 「な、そ、そんな……ひっ!? やぁ、そ、そこ……ぉ……!」  クスクスといやらしく微笑みながら、ジェノサイドエンジェルはわたしの背後に回り込みました。そしてバックからわたしを抱きしめるように手を伸ばすと、そのまま両方の乳房をわし掴んで揉みこね回してきます。  しかもその指遣いときたら、すごく執拗で、いやらしくって……わたしの感じるところばかり、嬲るように可愛がってくるのです……! 『そこ……何? ふふふ……隠しても無駄よ。このデスパイアに開発されすぎて大きくなりすぎちゃったはしたないおっぱい…… ふふふ。弱いんでしょ……こうやってされるの、好きでしょう?」 「や、あ……あぁっ! や、やめてください~、そんな、そんな事……ふああぁっおっぱいしつこいぃ、やぁ、こ、これ……ぇ……!」  自分と同じ声でいやらしい言葉を耳元で囁かれ、羞恥と恥辱を煽られます。ズボズボと触手での双穴ピストンを続けられながら、もみもみと両方のおっぱいを揉まれるの……  だ、ダメです……これ、これ……ぇ!  お尻とおまんこ一緒に犯されながら、おっぱいも揉まれて可愛がられるの……わたし、これ、すごく……! 『ふふ、いいでしょ……気持ちいいでしょ、感じちゃうでしょ? わたしは貴方なのよメイ……貴方のことは全部わかるの。貴方が本当は何を期待して、何をして欲しかったのか……全部、ね』 「そ、そんな……はう、あう、ふあぁ……あっ! 嘘です……わたし、こ、こんなの期待なんてしてません……ふああぁ、お、おっぱいしつこい……んおおぉ、そこぉ、深い……いぃっ!」  ずぼ、ずぼずぼずぼずぼっ!  猛烈な勢いで子宮に届くほどのピストンを見舞われ、抵抗の声さえ封じられます。おっぱいを根本から揉み潰されながら、指先でクリクリって乳首を虐められるのも……すごく、気持ちよくって……! 『あら、そう? こうやって虐められるの好きだと思ったけど……でもそうね。虐められるのも好きだけど、虐める楽しさも知っちゃったら……こんなの、どうでもよくなっちゃうわよね?』 「え、え…………ひゃう、う……んっ!」  れろんっ、とヨダレまみれの舌で耳を舐め上げられ、耳たぶを噛まれながら囁かれました。  自分自身に犯される妖しい快感にゾクゾクと身悶えしながら、わたしはその言葉に聞き入ります。 『自分をこんな目に遭わせた憎いデスパイアを、滅茶苦茶に嬲って、犯して、蹂躙する……フフフ。楽しいわよね? 自分だけが酷い目に会いっぱなしじゃあ納得できないものね。いじめっ子に復讐してやるのって胸がすくわよね、楽しいわよねぇ~?』 「そ、それ……はっ……はうぅぅっ! やあぁ、お、お尻も……んおおおおっ激しいぃぃ、そんなに奥まで、も、もう入らないのに……んぶうぅ、んっおおおぉおぉぉ~~~!」  ぐり、ぐりんぐりんぐりんっ!  大腸を突き抜けて胃袋にまで達した触手が、ぐるぐると激しく身を捻ってのたくりまわっています。  お腹の中までぐちゃぐちゃに掻き混ぜられて犯されるの……も、もう何度も味わわされた酷すぎるやり方……  わたし、こ、こんなの……イヤなのに……! 『ほらぁ……ここ、弱いでしょ? 子宮の奥までズボズボされるの好きよねぇ? 赤ちゃん育てる場所、滅茶苦茶に犯されて……ふふふ! うんちするときみたいに肛門捲り返されるのもたまらないわよね。何年間もデスパイアと戦い続けて、もう数え切れない犯されまくって……開発されきってるものね。絶望の味、たっぷりと教え込まれてるものねクセになっちゃってるものねぇ!』 「ひ、や、やあぁ……あっあああぁぁ! だ、だめですぅぅ……こ、こんなやり方……ひ、ひあ、あああっ! わたし、こ、こんな……こんなにされたら……ひあ、あ、あっああああ!」  彼女の言うことは、真実です……。  デスパイアとの戦いは、絶望の連続でした。  わたし、汚れきった自分の身体が、本当は大嫌いで……  こうやって犯されるの……すごく嫌なのに、わたしの身体は勝手に悦んじゃうの……本当、嫌で嫌で仕方ないのに……! 「ふああぁ、イ、イクッ……イクううぅぅっ! こ、こんなのイヤなのに、ダメなのに……触手に犯されて、また、またイっちゃいます……うぅぅ~~~!」  ぽろぽろと涙を流しながら、わたしは絶頂しました。  最初から、抵抗なんて出来ないってわかってた……  そうです。  絶望には抗えないって……もう、何度も何度も教えられてきているのですから…… 『そうよね。絶望には抗えない……そんなの、ずっと昔からわかってたはずでしょう? だから貴方は諦めていたのに、心を殺してエンジェルであろうとしたのに……あの子と出会って、偽りの希望に惑わされて。そのせいで……余計に深い絶望に囚われて』 「っ! そ、それは……それは…………!」  違う。  絶対に違う。  わたしは佑樹くんと出会って、佑樹くんはわたしと出会って。  お互いに絶望の淵から、希望を見出したはず……  そう。  その……はずだったのに…………! 『でも、今の貴方には、もう何もない。貴方を満たすのは虚無と絶望だけ……貴方にはもう、縋るべき希望なんてない……』 「あ、ああ……ああ、ああ…………」  自分自身の声が、わたしの耳から、思考に心に魂にドロリ、と染み込んでいきます。  それは残酷な真実の重みを伴って……  絶望という、絶対に抵抗できないと知り尽くしている、甘美な快楽を伴って。 『ほら、認めなさい。認めたくないなら何度でも思い知らせてあげる……絶望こそが、貴方に残された、最後の真実なのだと』 「あ、あ、ああ……ひあああぁっ! やあぁ、ま、また……んはああぁぁ、あっあああああああ~~~~!」  ドビュッ! ドビュ、ドビュドビュドビュドクンドクンッ!  大量の粘濁が、前にも後ろにも容赦なく注がれます。  絶頂の余韻も振り切れていないのに、さらに支配の証を注がれての連続絶頂……わたしを何度も屈服させてきた、忘れられない絶望の快楽。  こんなの、抗えるはず、ない…………! 『ほら、おっぱいでもイカせてあげる。認めなさい、貴方は絶望には抵抗できないのよ……貴方は絶望の虜なのよ、メイ』 「ひああぁ、イ、イクッ……またイク、またイっちゃうううう! ぜんぜん抵抗できないぃ……わたしまた絶望に負けちゃいますっ、んあああぁぁ、イ、イク……うぅぅぅ~~~~!」  ああ、ああ……。  溶ける……溶けていく……。  わたしが……わたしでなくなっていく……。  いえ……違う……。 「そう……そう、ですね。もうわたしには、もう…………何もない…………」  これが、本当の、わたし。  わたしは、どこで間違えてしまったのでしょう?  わたしの信じてきたものは、何が間違いだったのでしょう?  わたしの信じるべき希望は、一体どこにあったのでしょう? 『わかってるでしょ? そんなのに意味を求めても仕方ない。たとえ答えがあったとして、そこに意味なんてない。だってわたしは、もう……とっくの昔に、絶望してしまっているのだから』 「……ええ。そうです……そうですよね…………」  黒く熱く濃く粘る、ドロドロとした感情が噴き上がります。  絶望――  わたしはこれを、どこにぶつければ……  いえ、いいえ、いいえ。  違う、違います……。  わたしはもう、その答えを、見つけ出していました。 『そうよ……すっごく気持ちいいし、楽しいのよ。絶望を誰かに教えてやるというのは……あははは! 希望を守るよりも、ずっとずっと気持ちいいの。こうやって滅茶苦茶にしてやるの、すっごく楽しそうだなって……貴方だって、本当は思ってたんでしょお~?」  どびゅっ! どびゅっ、どびゅどびゅどびゅどびゅ!  うねりまくる触手が、またしても大量の粘濁を噴き出しました。  もうひとりのわたしは、すごく楽しそうに笑いながら、わたしを滅茶苦茶に犯しまくっています。  たっぷりと溜め込んだ絶望をぶつけるように、吐き出すように―― ――わたしが、そうしたかったように! 「あ、ああ……は、はい! わたし……本当は……あん、あん、あんっ! こうやって犯されて、滅茶苦茶にされる苦しみっ……ああ、あああっ! 他の誰かにも……ああ、イ、イクッ! あああぁ、こ、こんな絶望……誰かに、教えてやりたいって……ひあああぁっまた出てるっ、またイク、イックううぅぅ~~~!」  抜かずの中出しを前後の穴に何度も何度も極められて、その度屈辱のアクメを極めさせられてしまうわたし……。  マゾヒスティックな敗北感は、黒く黒く濁って反転し、そのままサディスティックな残虐性へと裏返っていきます。 「そ、そう……そうよ、そうなのよ! こんな理不尽な陵辱……あはぁ、あ、ああっ! 許せなかった……だけどどうしようもなかった! だったら、だったら……わたし、わたし……!」 『そうよ……もう、頑張らなくてもいいのよ? その絶望に身を委ねて……自由になればいいのよ……』  わたしは、最初からわかっていたんです。  この世界は、あまりにも不条理で不合理で理不尽で。  どうにかしたくたってどうしようもなくて終わってて。  ただ幸せに過ごしたかった……ただ平穏に暮らしたかった。  ただ、ただただ生きたかった……。  たったそれだけのささやかな願いさえ、この世界では叶えられないのだって。  だったら、だったら……! 「みんなに……教えてあげないと。この絶望……わたしだけが……いいえ。わたしとあのコだけが理不尽に味わわされたこの絶望を、この世界のすべてに味わわせてあげないと……!」  いつしか、わたしは笑っていました。  守る側ではなく、奪う側に回る愉悦。  願う側ではなく、踏み躙る側に回る刺虐。  希望を信じる側ではなく……絶望を振りまく側に回る、真っ黒な幸せ。 「ははは……は、は、ははは! あははははは……!」  考えるだけで楽しい……楽しくて楽しくて仕方がない! 「いいわ。わたしは貴方よ……虐殺天使メイ…………」  もう誰かを愛することも、誰かに愛されることもない。  この想いを胸に、わたしはずっと、一人で生きて、生きて、生きて生きて生きて生き続けてやる。  それがわたしの……貴方への、唯一の手向け。 「佑樹くん……見ててください~。貴方だけを不幸にはしませんよ~? わたしがみんなにも教えてあげますからね~。貴方の味わった苦しみも、悲しみも、絶望も……全部、全部全部全部全部!」  わたしに、もう……その名を呼ぶ資格なんてないのに。  貴方との思い出に浸る資格なんて、あるわけないのに。  ごめんね、佑樹くん。  わたし……最後の最後まで、貴方の事を考えないと生きていけないなんて……弱くて情けないおねえさんで、ごめんなさい。 「ふふふ……あは、あはははは! ああ~~~ひゃっはははははははははは!」  わたし、貴方がいなければ生きていけないぐらい弱いのに……。  でももう、この世界に貴方はいないから……だから。 『さぁ! 行きましょう! 貴方の絶望を……いえ。貴方と彼の生きた意味を……絶望を、この世界に教えてあげるために!」 「ええ、ええ! わたしは生きるわ……絶対に生き延びて……クククク! この世界を、絶望で満たし尽くしてやる!!」  本当……ごめんね、佑樹くん。  貴方と一緒に生きた時間は、少しだけだったけど……幸せでした。  でも、その分……光が強いほど、闇は濃くなるの。  希望こそが絶望を生み出すって……なんて皮肉なの。 「はは、はははははは! あ~ひゃっははははははは!」 ――わたしの愛した、ただ一人のキミ。  わたしは、もう――キミのいない世界でも、一人で生きていくわ。  ああ、本当に――――この世界には、絶望しかない。 =========================== どんどん消されていく騎翔天使としてのメイ…… 黒井先生の淫靡な物語の中にメイの悲しみを感じさせるSSとなりました。

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