神オリ002(チュートリアル) (Pixiv Fanbox)
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「――どういうことか説明を御願いします」
「ええ。力の分配ということです。貴方には王様としての力の分配する能力がありますが、貴方のそれは足し引きを手段とします。――意味、解りますか?」
「……足し引きをするということは……」
「……現状の僕は、何の力も無いゼロなんですね!?」
「はい。その通りです。手漕ぎ式のポンプには呼び水が必要なように、貴方が王様としての力を使うためには、まず誰かが力を”足す”必要があるのです。
そして、このチヨダで、どのような者を相手にしても大丈夫な分の力を貴方に与えて不備のない存在は誰かというと、――私です」
「富士サンは、それでいいの?」
「同意を求める方が残酷だと思いませんか?」
「え? あ、それは……」
「ふふ。冗談です。でも有り難う御座います。私のことを気遣って下さって」
「あ、いや、そうじゃないです」
「僕は、富士サンにしてみれば王様としての憑現者になってしまっているんですけど、でも、僕が、富士サンに相応しいかと言ったら、そうではないと、そのくらいは解るんですよ。だから……」
「もっと良い王様が、富士サンとは一緒になるべきだろう、って……」
「王様?」
「私は今、その話を伺って、凄く怒りもしましたし、凄く嬉しくも思いましたし、凄く寂しくも思いました」
「それは……」
「私は富士ですよ?」
「……坂の多い街で、朝に家を出ると遠くの山の向こうに私が見える……、そんな場所に住んでいる少年がいましたよね」
「え?」
「解るのですよ。本人を目の前にしたとき、その人が私との縁をどれだけ持っていたか」
「…………」
「朝、私のことが見えて良かったと思い、曇りや雨の日は残念を感じ、夕に帰宅するときは坂の途中から振り返って私が一番見えるポイントを探す……」
「え? あ、いや、あれは……」
「ベランダに出て食事するときも、食事の内容よりも私の方を見ていて」
「いや、でも、それは景観として……」
「駄目です。
さっき貴方は”それでいいの?”と”私に問うた”のですから、貴方が景観だ云々と言うのは、――私には関係ないのですよ」
「でも、そんなの、この国には何人もいるよ?」
「ええそうでしょう。でも、非荒神の襲撃に遭って、私に救われたのは、……そして私が持ち得ない王としての力を持っているのは貴方でした」
「貴方みたいな人が無数にいたとして、私が出会ったのは貴方だけなのですよ」
「――何よりも私を一番見ていた人。
この、地勢と地理の憑現者が集うチヨダで、富士の憑現者という私が、他の誰にも渡してはいけない人。
そういうことです」
「……富士サンは、僕が富士サンをどう思ってるか、気にしないの?」
「――この国で、私のことが嫌いな人なんていませんから」
「スゴーイ……。あ、皮肉じゃ無くて、本気で感心してるし、実際ほぼ確でその通りですよね……」
「どうです?」
「……富士サンの話の通りなら、僕は、他の人とも、同じようなことをすることになるけど、富士サンはそれでいいの?」
「そのときの貴方は、私の力を持っていますから。――私がいてこそ、です」
「あ、そうか……、って、そういうものなの?」
「……このチヨダにおいて、私にとって一番いいのは、それですから」
「私をずっと見ていた人を、私以外に黙って委ねるほど、私はおとなしくないですよ」
「じゃあ、……約束する」
「何をです?」
「僕の力の基礎の内、足して貰うのは、富士サンだけにするから」
「…………」
「……他の子達から”引く”のは忘れないで下さいね? でも……」
「私の方、山体が痩せ細りそうですね」
「そんなに」
「ふふ。でも、”決まり”ですね。じゃあ……」
「――待って」
「? どうしたのです?」
「うん。……脱がないで、着衣で出来ません、か」
「…………」
「……理由を聞いていいですか」
「え? いや、最初だから」
「…………」
「……アッコレ重症なやつ……、と思いましたが、実のところ、憑現として見た場合、衣装や装備も含みで表現なので、着衣はありです」
「そうなんだ……」
「はい。だって脱いだらフツーの女の子ですからね」
「アー、確かに……」
「ええ。脱いだら、髪がド派手の青白メッシュに身長210cmで超巨乳の安産型っていうフツーの女の子です」
「……富士サンは一個の存在なので、それでいいと思います」
「……でも完全に脱がなかったら合体出来ないのですが」
「物理的障害ですね。ならばパンツ部分は外していいんじゃないでしょうか。真ん中から割れたりします?」
「しません」
「率直に有り難う御座います。あ、でも、パンツは外すとして、ブラはあった方が”いつもの”感あっていいです」
「フクザツですね……。メモ取ります。どうぞ」
「アッハイ。ブラは有りだとして、先っちょとかが揺れてブラから漏れるとか、そういうの、大事だと思うんですよね……」
「何がそこまで……、と思いましたが、円滑に進めるためにヒアリングを続けることとしますね」
「というか、富士サンの方はどういう流れのつもりで?」
「え? そこのベッドに、こう、貴方を押し倒してですね。そして腰を、こちらの両膝でロックしたらカーテンを自動で締めて……」
「全部やってる! やってる!!」
「こういうこと……、ですよね?」
「ンンンン! 一億億点の合格です!」
「ふふ。では、あの、始まりとして……」
「ん……」
「このキス、山開きということになるのかな……」
「いえ、これは私の、人としての個人的なものです」
「え? いや、個人じゃないですよね」
「…………」
「……け、結婚したら同権ということにします」
「何かがどんどん進行している気がしますけど、あの、ここから先は」
「そちらは、脱がして……、いいですよね?」
「エッ?」
「……あのう……」
「え? あ、いや、おかしいです! こんなじゃないですよ普通! 日本人の平均よりも3cmほど大きい程度なので……!」
「そんな見栄を張らんでも……、と思いましたが、今回で言うと過小評価せんでも、ということになりますね……」
「いや、何でこんな大きさになってるんだろう……」
「まさか富士サン合わせになってる?」
「今、尋常じゃないレベルのセクハラをされましたが、可能性が否定出来ないですね……。チヨダは大空洞範囲の影響を大きく受けていますので」
「……じゃあ、そろそろ始めましょうか」
「……でも、今更ですけど、私でいいんでしょうか」
「あの、富士サン?」
「何です?」
「人は、性癖を破壊された相手には一生ついていくものです」
「……私、そんなことしました?」
「…………」
「……今ので、追加の破壊をされましたね……。無自覚とか、ホンマ……。最高……」
「こっちは全く解らないのですけどねー……」
「あの、逆に、富士サンは僕でいいんですか?」
「え? 今、貴方の一番を誰にも奪われなくて良かったとか、安堵してますけど」
「クソ重い……」
「もっともっと重くして差し上げますから、……後で嫌われないか心配です」
「大丈夫ですよ」
「? 何でです?」
「僕のヘキの一番は”面倒くさくて超激重な人”ですから」
「…………」
「……御期待に応えられるよう、頑張ります」
「じゃあ、始めますね」
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tobe~
「え? ここで次回へ?」
「うん。ちょっとコスト掛かり過ぎてるから、ここで失敬ね。既に動画は出来てるから、次回、続きということで」
「アー、確かに、既に枚数もですが、文章量も結構使ってますね……」
「最近はドラマ部分をしっかり書いてたから、こういうプロダクト的なものをやるとテキスト多くなるわよね。だからコストオーバーをしないよう気をつけるのが最近の方針」
「ともあれ神オリ、次以降はどんな風に?」
「他キャラ描きたいわよね。セーラー系とか。一報でコスト掛かる企画だから、いろいろ見極めつつ進行しないとね。そんな感じで次回、また宜しくね」