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「――退院おめでとう御座います。御怪我無く幸いでした。王様」

「有り難う御座います。……でも、その、王様というのはやめて欲しいんですけど。

大体僕、ここチヨダの総長連合に組み込まれましたけど、その中では番外番ですよね」

「ええ。でもそうは言っても、私にとって貴方は王様そのものなのです。私がどれほど最高の存在であっても、このチヨダの者達が如何ほどに力を誇示したとしても、分配と仲介の憑現力を持つ貴方の前では私も含め、誰もが一兵卒に過ぎません」


※憑現力

大空洞範囲と呼ばれる地下大空洞のある地域及びその隣接地帯では、住人のほぼ全てが第二次性徴が始まるあたりから、自分とは別の存在のテクスチャと能力を得るようになる。

これを”憑現物”と呼び、得られる力を”憑現力”、表現を得た者を”憑現者”と呼ぶ。

多くの憑現物は架空、概念的存在だが、基本的にダブることはなく、一個人=単一憑現である。


※憑現者

憑現物のテクスチャと能力を持ち、その力を使う者。

憑現物は大空洞範囲の最深部にいる”母無き母”から生じているものとされ、彼女に会う巫女としての許可および力であるとされている。そのためか、男性憑現者はその能力の多くが外見止まりで終わることが多いが、女性憑現者には設定されているレベルキャップ意外に制限が無い。

これは女性優位に見えて、実際は憑現化によって別の存在になっていくということであり、女性の方が”重象化”傾向にあると言える。


※チヨダ

大空洞範囲の鬼門に位置する隣接地域。安全境界や中間境界ではなく大空洞範囲とほぼ同じ個性を持つ。特筆は憑現者の多くがこの国の地勢、地理に該当するものであり、内部抗争はこの国における自然災害や豊穣に直結する。


「……一気に説明が来たよ……」

「ソシャゲだったらここでアンインストールされてますよね」

「うん。ソシャゲだったらね……!

でも解説読んだらガチャポイント貰える、みたいなシステムだと、皆逆にこういう文章探しまくるのかな……」

「ハイパーリンクのブラウザ形式でそういう仕掛けの入った辞書モードがあったら、チュートリアル無視してそっちをずっとやっていそうですよね……」

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「――私達は人ですが、人ならざるものの憑現が強く、そしてその影響も深刻です。

 ゆえに人としての営みを外さぬようにと、政治的な方から指示を受けてもいます。だからこのような学校などを幾つも持ち、そこでスケジュール性の高い生活をしているのですね」

「総長連合なんかもちゃんとあるんだ……。というか、僕の目の前にいるのが、このチヨダ圏の総長だよね」


「ええ。そうですね。……名前はお教えしましたでしょうか」

「いや、聞いてないけど、何となく解る」

「お聞かせ願えますか?」

「富士山……、だよね」

「富士とお呼び下さい」

「山が着くとダメなの?」

「実際のその土地に住んでる方や、場合によっては地権者もいますので……」

「アー。じゃあ富士サンで」

「ふふ、それいいですね」

「リンゴの品種でありそうですけどね」


https://vegemart.net/apple/kind/12_sf.html


「セーフ……!」

「セーフ……!」


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「ともあれ、僕は何をどのようにしたらいいんです?」

「ええ。王様には、いろいろ訳ありや地勢の影響で相対傾向の高い皆に対し、彼女達の力を禊祓して馴らし、分配することで平均化して頂くことになります」

「……ええと?」

「ちょっと解りにくいですね」

「たとえば現在、地球レベルの地理で言うとフィリピンプレート上の火山活動が盛んです。その影響でしょうか、一部の火山に由来する子達がストレス傾向にあり、相対戦を起こす火種となっています」

「それを僕は止めるの?」

「止めても止めなくても問題ありません。大事なのはケアです」

「どういうこと?」

「ええ。私達のストレスは本体ともいえる山体に溜まる地理的負担が要因です。その力を王様はまず自分で引き受け、他の子達に分けるのです」

「……分けたら、結局ストレスの総量は変わらないんじゃない?」

「ストレスは、適量ならば活性の源となるものですよ。だから、活動中の火山同士でパワーバランスを取るようにしてもいいですし、今は休んでいる火山や、他の地理的存在、――河川や海、平野などの子に分けてもいいのです」

「――火山以外の人達もいるんだ」

「総長の私は富士ですが、生徒会長は親潮ですよ。陸派と水派の派閥もあります」

「例えばそういった人達のストレスって……」

「洪水や海流の蛇行にもなれば、逆に力を失って渇水や速度の低下にもなります。洪水などは陸側とのバランスもあるので難しいですね」

「成程、ええと、じゃあそういう皆は? 今の処、誰とも会わないけど」

「――いいですか王様、復唱して下さい」

「作画の問題です」


「作画の問題です」

「よく出来ました。気分で始めた企画なのでいろいろ危険です。今日もGIF用に素材を割っていたら立ち絵なのにレイヤー量がいつもの二倍になってどうしたものかと」

「透明性の高い企画で有り難う御座います」

「ふふ、じゃあ次の場所に行きましょうか」

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「ここは?」

「ええ。私の部屋です」

「え? 入って良いの?」

「ええ。大丈夫です。天井が高いしベッドが大きいでしょう? 私、身長210cmもあるので」

「特注だ……」

「あ。ご安心下さい。体重については憑現物の性質として精霊的や土地神のようなものとなっているので、人間時のものが設定出来ます。最大で山体と同じようにも設定出来ますが」

「ウワー……、ダイナミック」

「じゃあ、逃げられないように鍵を掛けますね」

「アッハイ」

「…………」

「……エッ? 今の何? 富士サン」


「ふふ。……じゃあ王様に、まずは私のストレスを抜いて貰いますね?」

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tobe~

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