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子供の時、皆は将来自分が何になりたいと考えただろう。

強くてたくましいせんし?武道を極めるぶとうか?魔術研究に勤しむまほうつかい?

それとも、誰もが一度は憧れる世界を救うゆうしゃだろうか?あそびにん…は

さすがにいないだろうけど。

俺は違った。毎日誰よりも早く起きてトレーニングし、勉強し、呪文を習った。

メキメキと強くなる俺を見て回りの誰もが俺の将来を期待した。…でも、18になった

俺が選んだ職業はまものつかいだった。

まものつかい…人間にとって脅威となる怪物と心を通わせ、下僕に迎え入れる特殊な

力を生業とする職業だ。故になり手は多くなく、むしろ怪物を仲間にするところから

世間からの目は冷たい。だが、俺はそんな事には目もくれず試験を受け、無事に

協会からまものつかいのライセンスを受け取った。

見習いのまものつかいはまず普通、スライムを仲間にするところから始める。

最近では最初から協会が手なづけたものをライセンス所得者にプレゼントしている

部署もあるくらいだそうだが、俺は一切を断り協会を後にした。

俺の目的はただ一つ…スライムたんを…あの憧れの人を仲間にしたい。ただそれだけの

ために8年間無心で鍛錬を続けたんだ。

-

スライムたんとは、スライム系から進化し独立した種族だ。人間の女の子そっくりな

外見から擬人化スライム系とも言われる。語尾につくたんの意味は元々T.A.N

( Tender Animalistic Naked girl かわいい野生の裸少女)からきているらしい。

基本的に人に危害を加えることのない大人しい種族であるが、怪物である事には

変わらず警戒されている。一方で仲間にすれば、頭がよくとても従順で頼りになるため

まものつかいの間では人気の種族でもある。

俺はその中でも特に人気の種族「キングスライムたん」を探し求めて、ある辺境の森に

やってきた。キングスライムたんは生息数こそ決して希少種と呼べる程ではないものの、

その愛らしさ、賢さ、能力値の高さから同業者の間ではブッチギリの人気種となって

いるため、結果的に仲間にする事が難しくなっている。

キングスライムたんの目撃情報が高値で売れるくらいの白熱ぶりだ。皆必死になって

探し回っている。おかげで彼女の生息地と思われる場所は常に荒らされ、新規参入者

ほどハードルが高いのが現状だ。

そんな状況の中、俺はこの森にやってきたのは別に情報を買ったわけでもアテがある

わけでもなかった。…ただ、彼女はここにいる。そんな気がしてならなかった。

この場所は、小さかった俺が偶然、初めて彼女に出会った場所だったからだ。

その昔、俺はちょっとした冒険心から、大人にキツく言われていたのに勝手に森に入り

迷った末にケガをして動けなくなってしまった。そこへ現れたのが彼女だ。

彼女は俺を襲うどころか、ケガを直し村まで連れて行ってくれた。この事は

村の誰にも言えなかったが…俺はそれ以来彼女の事でずっと頭がいっぱいになっていた。

まものつかいを目指したのもそれが動機だった。それで十分過ぎた。

主「…とはいうものの、冷静に考えれば考えるほど…ありえないよな。あの人が

まだ野生(フリー)のままって。あれから8年だぞ?」

などと自嘲しながらも、かつての記憶を頼りに森の中を進んでいく。8年前と同じで

森には人が出入りしている跡がない。もし、彼女がまだいるのならあるいは…。

淡い希望を抱きながら、奥へ奥へと進んでいった。

-

キングスライムたんは草食系で特に果実を好む。俺は熟れていい匂いのするりんごの木や

野生のいちごが実っている草原を見つけて探してみたが、一向に見つからない。

他にも彼女がいそうな場所を、モンスターブックに書かれているセオリー通りに

虱潰しに当たってみたがやっぱりいない。

既に日は傾き、夕暮れに差し掛かっていた。これだけ探してもいないという事は…

残念だけど彼女はやっぱり。わかってはいたものの、当然の結果に俺は落ち込み、

仕方なく来た道を帰り始めた。

ふと目の前の洞窟に目をやる。…よく見ると洞穴の脇にりんごの芯などの食べかすが

捨てられていた。ここに誰か住んでいるのだろうか?

主「まさかここにキングスライムたんが…いやいや。彼女は洞窟のような暗い場所は

好まないはずだ。…いるわけないんだ…いるわけが」

キ「ピィ…?」

主「!!?」

そう思っていると見覚えのある顔がひょっこりと洞穴の影から出てきた。

突然の出来事に俺は固まってしまう。

主「キ…っ、キキ……っっ!!!」

キ「ひ……っ!」

キングスライムたんだ!!俺は震えながら彼女に指差すと彼女は露骨に警戒心を

顕にした。…だが、クンクンと匂いを嗅ぐと急に顔つきが柔らかくなって…。

キ「ピィ~~~~ッ♪♪♪」

主「うぉわっっ!!?なっ、なんだぁっ!!?」

キングスライムたんの方からいきなり飛びついてきたのだ。思わず押し倒されてしまう。

そして彼女は身体をすりすりと擦りつけてきた。スライムたん特有の友愛の仕草だ。

なぜかはわからないが俺はこの子に人目で気に入られてしまったらしい。

-

主「えと…っ、俺の言葉…わかる?通じてるかな?」

俺はスライムたん共通の言語で彼女に話しかけた。スライムたんには言葉を喋る事が

出来る種族も多く、使われる共通言語を習得するのもまものつかいには必修の資格だ。

キ「はい…っ、わかりますっ♥…あの時の方…ですよね?お久しぶりです♥」

主「あの時の方って…えっ!もしかして君、小さい時の俺を助けてくれた…!?

まだ覚えてくれてたの!」

キ「はい…っ♥またいつか出会える事を心待ちにしておりました…っ♥」

…信じられない。あのキングスライムたんが、俺のために。彼女もずっと俺が

成長してまものつかいになるのを待っていてくれたなんて。

主「じゃ…じゃあ…っ、キングスライムたん…っ!俺の仲間に…なってくれるかい?」

キ「喜んでっ!!マスターっ♥♥」

-

夜になり、俺はキングスライムたんと共に街の宿をとっていた。彼女を仲間にするのに

必要な契約の儀式を行うために。

スライムたんを仲間にするには以下の内容の儀式を行う必要がある。

①仲間にしたいスライムたんから親愛と同意を得る

②性交によって「破瓜」を迎える

③膣内射精によってスライムたんの子宮に精液を注入する

こうする事で、スライムたんは注入された精液からDNA情報を入手し、マスターの

生体情報を自分の子宮内に取り込んで登録する。これでスライムたんは

マスターとなったまものつかいに仕える従順な下僕になるというわけだ。

ただ膣内射精すればいいというわけでなく、同意を得る事と破瓜を迎えることも重要で

これらが満たされない限り決して主従関係は成立しない。暴力行為ではスライムたんを

従わせる事はできないってわけだ。…まあそんな不届き者がいたらスライムたんの方が

黙っていないが。

手早く食事を済ませると、俺は彼女が待つ部屋へと向かった。ドアを開けると

彼女はベッドの上で既に俺が来るのを今か今かと待っていてくれたようだった。



king02C

(差分その他はzipをダウンロードしてお楽しみください)

こうして、俺とキングたんの物語は始まったのである。

(20/11/10初稿)

…という風に今回は小説仕立てにしてみました。この形だと差分をずらっと並べるのは

不格好になるので、zipでダウンロードして頂ければと思います。

次は妊娠・出産編です。

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