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登場人物(ベルガモット・アール(子供) ぬるめ注意 クリスマスの日 朝、ベッドから降りて階段を降りる。母様と父様は仕事で忙しい。僕が小さな頃からずっとそうだった。テーブルの上には書き置きのメモだけ。冷蔵庫にはケーキがあり、寝室には可愛く、ポップな子供向けの柄でラッピングされたプレゼントが置いてある。 毎年、伯父様が家にいる、が…いつも部屋に篭って、何をしているのかわからない。 今年になって、ようやく目を合わせて話せるようになった。 しかし、今年は違った。あの伯父様も出かけてる、と両親が書き置きしたメモに書かれていたのだ。 今年こそは一緒にケーキを食べれるかと思ったが、今回も1人で食べることになった。 学校の友達はみんな、家族で過ごすのだと言う。僕はその話を聞くたびに他の家庭が羨ましい気持ちになった。 クリスマスの日や誕生日、いつも両親は仕事で忙しそうだった。たくさんの書類と、一日では終わりきらない仕事、毎年ごめんね、と謝られる。 僕は我慢することにいつの日か慣れていた。我儘を言ったことは一度もなかった。 ケーキを一口食べると甘さいっぱいに口の中に広がる。この甘さを感じてる時だけは心の悲しみや寂しさを少しでも忘れることができる。 ーガチャ、バタバタッ! 「?!」 玄関の鍵が開く音と共に、少し騒がしい音も一緒に入りこんできた。突然の出来事に驚いて、僕の尻尾がぶわっと広がり、もっさりしてる。…まさか、泥棒? 「だ、だれ…?」 恐る恐る声をかけながら部屋中を歩く。突然のことに驚いてフラフラしてしまう。 「あっ…」 ヨロヨロとよろめいて、足を滑らせる。このままでは床におでこをぶつけてしまう…! 迫り来る床に思わず目を閉じる。…しかし、痛みはなく、棒のような…何かに支えられる。 それは白くて細い腕だった。目をゆっくり開けてから後ろを振り向くと、そこには黒髪で赤目を持つ伯父様が立っていた。 「だ、大丈夫…?!」 伯父様は眼鏡をして、オロオロと心配そうな顔をしている。 …先程、帰ってきたのは伯父様だったのかと思うと少し安心して、ホッとした。泥棒じゃなかったんだ…。 「だいじょうぶです」 微笑むと伯父様は目をキョロキョロ動かし始める。それはよかった、と落ち着かない様子で僕を見つめる。 …一体、伯父様はどこへ行って何をしていたのだろうか。 「おじさま、今日は用事は終わったのですか?」 「へッ?!あ、あぁ、あ、おお終わったよ…」 後退りしながら僕から少し離れる。どうも今日の伯父様は怪しい。 「ね、ねぇ、アール…。もうケーキは食べてしまったかい?」 「先程…たべてしまいました…」 「そ、そうか…」 口の中には甘い味が残ってる。 「で、では、食事は…?あの、えっと、…ま、まだ済ませていないだろう…?」 食事は確かに済ませていない。先にあのケーキだけ食べて、今日は寝て過ごすつもりだった。 首を上下に動かすと伯父様は少し嬉しそうに微笑み 「わ、私も、済ませてないんだ。だ、だから…一緒に…」 …と、最後の方はゴニョゴニョと言って聞き取り難かったが、伯父様はどうやら一緒に食事をしたかったみたいだ。 テーブルの上に七面鳥や、チーズ、キドニーパイ、シチュー…美味しそうなものが並ぶ。伯父様が作った料理…ではなく、ハウスキーパーさんが作り置きしてくれたものだ。たしか…名前は…ミヤさん、と父様が呼んでいた。 ハウスキーパーさんも今夜は家族と過ごすので、クリスマスはやっぱり1人になってしまう。 「とっても、おいしそうですね」 「そ…。そうだね。私にはとても作れそうもない…」 目を輝かせながら見つめる。さっきは食欲もわかなかったけど、誰かが側にいると安心するのか…お腹が空いてくる。 「さ、さ、食べようか。」 「はいっ」 お互い食事の前に祈りの言葉を捧げてから食べる。ナイフとフォークで丁寧に肉を切り分け、一口食べていくと、脂や塩の旨みがじんわりと広がる。 「おいしいですね…」 「そうだね…今回のハウスキーパーさんは、とても…料理上手でよかった」 伯父様も満足そうに食べる。僕もそれを見てなんだか嬉しい。 「伯父様、今日はどちらへ?」 「へっ?!」 目を丸くさせて、動揺のあまりフォークを落としそうになる伯父様。…これは聞いてはいけなかったか、と気づいた。 「も、もうしわけありません…どうしても…きになってしまったので…」 「あ…。い、いいんだよ…気になってしまうことは、仕方ないことだから…」 俯いていると、伯父様は様子を見ながら目を逸らして 「あ、あとで…渡したいものがあるから…私の書斎に来るといいよ」 と、小声で呟いた。 何があるかはわからないが、僕は伯父様の書斎が好きだったから、渡されるのもなんだか楽しみだった。 食事が終わった後、伯父様と一緒に片付けをして、書斎に入る。 伯父様の書斎は僕の部屋二つ分。机の上にはパソコンや紙が山積みになってる。暖炉もあり、部屋の中は暖かい。 この部屋の三分の一は本棚で埋まってる。伯父様は本が好きで、特に昆虫や植物の図鑑や本は多かった。 僕はその溢れた本の中にいるのが好きだった。古い本の匂いと、新品の本の匂いで溢れているここが、安心する。 僕の父様は本には囲まれていない。どちらかと言えば棚の中はお洒落な小瓶がずらずらとケースに飾られている。父様のコレクションで、コースイとか、なんとか言っていた。あの鼻にツンとくる匂いがあまり好きではない。 書斎で、伯父様と二人っきり。伯父様は大きな紙袋を用意していた。 紙袋の中には更に真っ赤なラッピングに、金色のリボン。特別な日にしかもらえないようなプレゼントが入っていた。 伯父様は僕にそれを渡した。 「開けてごらん」 こくこくと頷いて、開けてみてみるとそこには沢山の本があった。 星座、神話、歴史、昆虫図鑑……どれも僕が好きな本だ。 「アールがどの本が好きか…わ、わからなくて……き、気に入ってくれたら…嬉しいな…」 普段伯父様は外に出ない。それなのに、今日は頑張って一歩外に出て本屋に行ったのだろう。 先程バタバタと帰ってきたのは、店員やすれ違う人に会うのが恥ずかしくて急いで帰ってきた…そう、僕は想像した。 「僕…すごくうれしいです。ありがとうございます、おじさま…」 本をぎゅっと抱きしめる。毎年クリスマスは一人だった。でも今日は伯父様のおかげで素敵なクリスマスを迎えることができた。 「そ、そうか…よかった…」 そのあとは「ここで早速読んでみるかい」と言われるままに伯父様の書斎で読んだ。 伯父様は暖かい飲み物も用意してきて、ホットの葡萄ジュースだった。それも今日用意してきたのだと言う。 ペラペラと集中して読んでいたら…だんだんと眠くなり、気づいたら自分のベッドの中にいた。 自分で自室に戻り、ベッドの中に潜り込んだのだろうか。それとも、伯父様が運んでくれたのか…それはわからなかった。 意識がはっきりしないまま、僕はまた目をゆっくりと閉じて深い深い眠りについた。 今日はクリスマスだ。テレビをつければ大騒ぎしてる連中。つけるだけ無駄だったとリモコンをソファに放り投げる。 私はクリスマスにはいい思い出はなかった。ウィンターホリデー初日に実家へ帰れば誰もいない。両親は浮かれて高級フランス料理を食べに行ってるし、弟は友達とはしゃいで過ごしている。リア充め。 真っ暗な部屋の中でテレビをつけて、ケーキを食べる。これが私の毎年のクリスマスの過ごし方だ。 クリスマスなんて興味もないし、いい思い出もない。 今年も甥のアールは1人寂しそうにケーキを食べる。私はその姿が自分と同じように見えて仕方なかった。 学校で家族とどうクリスマスを過ごすかを聞かされ、自分と他人の家族を比べ、毎年落ち込みながら帰ってくる。 朝からプレゼントを買いに行った。コートを着るのは何年ぶりだろう。外は雪が積もって、広場ではカップルや子供で溢れかえっていた。広場の真ん中にある大きなツリーには派手な装飾で飾られて、ギラギラと輝いている。 私にとって、そのツリーは眩しすぎた。 何年も行ってない本屋に足を運ぶ。この本屋は私が大学時代の頃までずっと通っていた本屋だ。 店主は変わっていないのを確認し、嫌だなと思いつつも震える手で本を選ぶ。 近場の本屋はここしかない。あとは遠くの方にもあるが、電車で1時間以上もかかる。 …早く帰りたい私は、近場の本屋で済ませようとしていた。 アールは何が好きだろう。私の書斎に入り込んではよく本を読む。…何を選んでも黙々と読みそうだ。 あの忌々しい弟とはまったく違う。弟は両親に甘えれば何でも買ってもらえたから、本なんて読まなかった。そのくせ勉強をしなくても成績は優秀。私はそれが心底羨ましく、憎かった。 欲しい本だけ手に取り、レジへ向かう。店主は私が誰だか気づいていない様子でホッとし、金を出す。 「おや…あんた…?」 気を緩めばいつもこれだ。嫌な予感がした。店主に久しぶりだなぁ!と元気そうな声をかけられる。 私は家以外の外ではもう何十年も声を出していないし、自分の家族以外の他人と会話もしたことがない。そのため、緊張のあまり声が出せず真っ赤になる。不甲斐ない。 「ご両親のことは…お気の毒だったなぁ。元気にしていたかい?」 ー“オキノドク” 他人が私にかける言葉だ。私はその言葉が大嫌いだった。何度も、何度も聞いた言葉。 私はおつりをもらわず、商品だけをもらうと走っていた。すぐさま鍵を開けて、家に飛び込み、帰ってくる。 アールはいるだろうか。もうこのプレゼントを渡して部屋に閉じこもりたい。プレゼントを買おうと外に出たことが間違いだった。 やっぱり最低なクリスマスとなってしまった。 しかし、どうだろうか。アールは私のプレゼントなんかでも両手で受け取ってくれて、喜んでくれた。私はそれが心底嬉しかった。 私のお父様やお母様は私からのプレゼントは喜んでくれない。そして、私から他人へプレゼントしても「センスがない」と言われてゴミ箱へ捨てられる。気持ちを丸ごと捨てられた気分だった。 こんな私なんかでも、誰かのために幸せを運ぶことができる。自分がアールの救世主になったかのように思えた。 プレゼントしたばかりの本は、アールの手の中だ。もう既に黙々と読み始めている。 暖かい飲み物を出そうとしたその時に…今回の計画をふと思いついた。 葡萄ジュースとアールには伝えたが…これは『葡萄酒』だ。 葡萄の甘ったるい匂いでアルコールの匂いなどかき消されている。度数も低めだ。そもそもアルコールの匂いなんてアールがそこまで深く知らないであろう。 プレゼントも渡した私のことを信じ切ってるアールはとても純粋で、一口も、二口も、怪しまずにどんどん飲んだ。 数量でもアールの頬は赤くなり、うつらうつらし出す。「もうお休みよ」と優しい声で耳元で囁けばこくりと頷いて目を閉じた。 体温やぬくもりはあったかく、小さな手足をふにふに触っても起きなかった。 心臓が高鳴る。今なら好き放題できるだろう。弟も、弟の嫁も、今日は仕事で帰ってこない。ハウスキーパーだっていない。 この家の中には2人だけだ。私はクリスマスに1人だったアールにいい思いをさせた。救世主にだってなってあげた。 今度は私がいい思いをする番だ。 クリスマスに少しぐらい…いい思いをしたって、神様は許してくれるだろう? インスタントカメラにアールの姿を何枚も撮る。ビデオカメラも用意して、身体のあちらこちらを触り反応を楽しむ。少しピクリと動く反応が面白い。まるで昆虫を針でつついた時と似ている。 服を脱がして、下着もあらわになる。脱がせたブラウスに鼻をぴっとりとくっつけて匂いを嗅ぐ。私と同じ柔軟剤を使っているはずなのに、甘い匂いがするような気がした。アールが着ていたブラウスの匂いにやられて…つい、息が荒くなってしまう。 口の中に指をゆっくり入れる。粘膜がトロトロとしていて、小さな舌に私の指が触れると「んっ」と少し甲高い声が漏れた。その声がもっと聞きたくて仕方ない。 たくさん舌を触ると涎がトロトロと無意識に流れだす。 「はぁ、ん、ん…ッ」 舌を指で摘んだり、優しく触ると、少し苦しそうな顔を見せる。それだけでも私は興奮し、口端から溢れる涎を舐めるとるのを我慢して写真を撮った。 何度も、何度もシャッターを押した。 子供のくせに、やらしい奴め。 「おじ…さま…」 「?!」 急にハッキリとした言葉を口にした。私は怖くなり、すぐ服を着替えさせ、アールが起きないようにゆっくりお姫様抱っこで運んだ。 そっとアールの部屋に届け、布団に寝かせる。 私は急いで自室に戻りインスタントカメラと写真、ビデオカメラを隠した。 初めはちょっとした悪戯のつもりだったし、弟への復讐のつもりだった。自分の息子が悪戯されている姿をビデオや写真でおさめたら、弟はどんな不愉快な顔をするのか気になった。 …それが最近では、アールのことが気になるし、反応を見るのも楽しい。引きこもりの私、ダメな私、それでもアールだけがこんな私でも受け入れて近寄ってくれる。 子供は綺麗だから…私も近寄ってきてくれるのが嬉しい。何もかも失った私の…今の生き甲斐だ。 冷静になったら写真やビデオを整理した。本棚の裏側には悪戯した写真や動画がびっしり収納されている。また一つ、今日も増えた。 今年は素敵なプレゼントをありがとう、アール。 次はどんな悪戯をしようかな。

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