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――はじめに――  こちらは全体公開用の前編になります。    支援者の方は後編の先行公開と合わせてお楽しみください!   登場キャラクター ・柊木琴音(ひいらぎことね)  どこにでもいる普通の女子高生。  物語の主人公。 ・先生(女性)  琴音の担任教師。  ヒトイヌについての特別授業などを執り行う。   ・柚葉ちゃん(ゆずはちゃん)  琴音の友だち。  学校を帰るときはいつも一緒。 ――以下本編――  高校3年目の新学期が始まってすぐのこと。  私こと、柊木琴音(ひいらぎことね)が通っている高校にヒトイヌがやってきた。  ヒトイヌとは、私たち人間社会に紛れ込んでいる人間の成り損ないのことで、先生が言うには発見次第すぐに捕まえて人が管理しなければ、絶滅してしまう生き物らしい。  ヒトイヌがどういう生態の生き物なのか、まともに授業を聞いていなかった私は詳しく知らないけれど、見分ける方法はただ一つ。  疑わしい人間にヒトイヌ専用の装身具を身につけさせ、しばらく様子を見るだけ。  たったそれだけで、ヒトイヌか、人間か、見分けがついてしまうらしい。 「あぅ……うぅ……ッ」  教室に連れてこられたヒトイヌも、専用の装身具を身につけているのか、首から下の素肌は黒いテカテカのスーツに包みこまれており、その上から四つん這いになるように手足を黒革の拘束具に折り曲げられ、無防備な胴体には、姿勢を矯正するためのコルセットが身につけられていた。  そのうえ、全身を隈なく覆い尽くすベルトに四肢の可動域を制限され、首にはネックコルセットと重厚な首輪。顔と頭には犬耳を模した被り物にハーネスベルトが一体化させられた開口器付きのマスクをつけられている。  これらの装身具だけでも充分にこの世のものとは思えない異質めいた雰囲気をヒトイヌは放っているけれど、ヒトイヌの股間には、胴体のコルセットと連結された貞操帯まで装着されているのだから、えげつない。  先生がいうには、ヒトイヌが勝手に自慰行為をしないように、膣や尿道などの穴すべてを特別な生命維持装置で塞いでいるとのことだった。  嘘みたいに思えるかもしれないが、貞操帯を嵌められているぷりぷりのお尻の割れ目から、黒い尻尾が伸びているから、お尻の穴まで異物で埋め尽くされているのは本当のことなのかもしれない。  けど、いくら絶滅させないためだからって、身体中の穴という穴を管理されてしまうのは、すごく可哀想に見える。 「あぅ、んうぅ……ッ」  でも、そんな私の想いとは裏腹に、目の前にいるヒトイヌは、しなやかさのある身体的なくびれや尻尾を生やしたプリプリのお尻の存在を最大限に活かして、私を可愛がってください。と言わんばかりに腰を振って吐息を漏らしていた。  それに合わせて、テカテカと光を反射する黒いスーツ越しに、丸みを帯びた二つの膨らみがコルセットとベルトの締めつけによって大きく強調されながらぷるぷる揺れ動くもんだから、クラスの男子の目はヒトイヌの身体に完全に釘付けになっている。  専用の装身具で理不尽に拘束されてるくせに、それでも男子の注意を惹きつけるなんて、どれだけえっちな性格をしてるんだろう。  女の子である私でも、ヒトイヌをずっと見ているとなんだかムラムラしてきた。 「先生! ヒトイヌの口は、ご奉仕するためのもの。と聞いたことがあるのですが、本当ですか?」   「はい、本当ですよ。ヒトイヌの口には常に開口器が咥えさせてあり、ご主人様の命令があったときは、いついかなるときもご奉仕をすることを法律で定められています。ですので、このように——」 「あぅッ……!? んぶッ、んふぁ、あっ、あぅうッ……!?」  クラスの男子の質問に、排水溝のような見た目の開口器で開け放たれたヒトイヌの口腔内へ先生が自分の指先を挿入してしまう。 「んぶッ、ん、んはぁッ、じゅるッ……うぐッ、んぁッ、あ、あぉおッ……!? おごぉおッ……!?」  グチュ、グチュ、とヒトイヌの口腔内を掻き回すように先生は何度も何度も指先を挿入しては、抜き取って、を繰り返す。  そのたびに、ヒトイヌの真っ赤な舌が先生の細い指に絡みつき、開け放たれた口からはベチャベチャと白く泡立った唾液が溢れ出していた。 「このように、指先を口腔内に挿入するだけでもヒトイヌは口でのご奉仕に悦びを覚え、もっと、もっと、とねだるように腰を振ります」 「ンブゥウウウウ!? ングぅッ……!? ンぐッ!? ンぐぅう~~ッ!?」  指先をヒトイヌの喉深くまで挿入している先生の説明どおり、ヒトイヌは先ほどよりも大きく腰を振って、プリプリに張り出したお尻を嬉しそうに震わせていた。  感情が高ぶっているのか、ヒトイヌのお尻から生えた尻尾も大きく揺れ動き、どこからかヴヴヴヴヴッ、とモーター音のような鈍い音も聞こえてくる。  普通の人間だったら、指先を舐めるだけでこんなに喜ぶはずがない。 「わかりましたか? コレが、ヒトイヌです。装身具を身につける前の形は人間そっくりかもしれませんが、ヒトイヌは人間ではありません。なので、ヒトイヌを見つけたときは専用の窓口か、先生に連絡するようにしてくださいね」  先生の言葉にクラスの男子が、わかりました。と返事をする。 「ではみなさん。次は実際にヒトイヌと触れ合ってみましょう」  それからも先生の指導の下、ヒトイヌを交えた特別授業は続き、午前中いっぱいで幕を閉じた。    その後、午後の授業を終えてから、友だちの柚葉ちゃんと一緒に自宅へ向かう帰り道。  私の頭の中は、ヒトイヌのことでいっぱいだった。  どうしてかわからないけど、ヒトイヌが真っ赤な舌をだらしなく垂れ流しながら、気持ちよさそうによがり声をあげて腰を振っている姿を思い出してしまうのだ。  頭に浮かぶその姿は、本能のままに性の悦びを貪るケダモノで。  生物として明らかに偏った進化をしているのに、ヒトイヌはそれでも悦びに飢えて生きている。  ヒトイヌも最初は人間として生まれ、人間として育ってきたはずだ。なのに、ヒトイヌということだけで、あそこまで本能を剥き出しにできるものなのだろうか。 「――――」  もしも、普通の人間である私がヒトイヌと同じように扱われたら――どうなっちゃうんだろう。。   「あ、あのさ……今日の授業のことなんだけど」 「なに、どうしたの?」 「いや、なんていうかさ、その……ううん。やっぱり、いいや」 「えー、途中で辞めないでよ? 気になるじゃん。ちゃんと、最後まで教えてよ」 「えっと、その……」 「はやく教えて」  突然話題を振ったクセに、どっちつかずになる私に、柚葉ちゃんは苛立ちを覚えたのか珍しく強い言葉で答えを急かしてくる。  でも、この考えを伝えるべきか、否か、迷ってしまう。  だって、私が今から柚葉ちゃんに伝えようとしていることは明らかにおかしいことなのだ。  きっと、軽蔑されるに違いない。  それでも、口に出して柚葉ちゃんに伝えたいと思うのは、どうしてなのだろう。  わからない。  わからなくて、怖い。  でも、言い出しっぺは私だし、話さなくちゃ。 「もしかして、今日のヒトイヌのことだったりする……?」  すると、柚葉ちゃんは私の考えを読むように先回りして、ヒトイヌの話題を振ってくる。  私はつい、その口車に乗せられて。   「う、うん。実は、その……私、ヒトイヌみたいに……あんな風にされてみたいなって、思っちゃった」 「え、ほんと? 琴音はヒトイヌになりたいの?」  グイグイと興味ありげに食いついてくる柚葉ちゃんのリアクションに、伝えてしまったことを後悔する。  いくらなんでも私の変な考えに柚葉ちゃんを巻き込むのは良くなかった。 「あ、いや……冗談だよ! 今のは嘘! 本当のことじゃないから、この話しは忘れて!」 「え? うん、わかった……琴音がそう言うなら聞かなかったことにするよ」 「あはは、ありがとう……」  それからすぐに私たちの暮らす住宅街にたどり着いて、柚葉ちゃんとはそこでさよならした。  でも、私は家に帰ったあともヒトイヌのことが忘れられず、夜中はずっとムラムラしたまま眠れなかった。  その翌日。 「柊木琴音さん。あなた、ヒトイヌになりたいんでしょう?」 「……え?」  朝のHRが始まる前。教室に入ってきた先生に告げられた言葉にドキっとして、頭が真っ白になる。 「とぼけてもダメよ。あなたがヒトイヌになりたいってことは、もう、知ってるのよ?」 「ど、どういうことですか!?」  訳がわからなくて、席から勢いよく立ち上がる。 「どうもこうもないわ。ヒトイヌになりたいってことは、あなた、本当はヒトイヌなんでしょう? 普通の人間はそんなこと思いもしないから」 「ち、違います! 私はヒトイヌなんかじゃありません……!」 「そう、だったらそれを自分の身体で証明しなさい」  先生はクラスメイトに他の教師が来るまでは、いつも通りにしてるようにいいつけると私だけを教室から連れ出して、空き教室に移動する。  そこには、昨日のヒトイヌが身につけていたものと同じであろう黒い装身具一式が用意されていた。  後編 https://style-freya.fanbox.cc/posts/4334428  挿絵付きhttps://style-freya.fanbox.cc/posts/5355007

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